通年採用とは
通年採用とは、企業が採用活動の時期を限定せず、年間を通じていつでも応募を受け付け、選考・採用を行う手法のことです。
従来の新卒採用では、特定の時期に一斉に選考を行う「新卒一括採用」が主流でした。しかし通年採用では、企業が必要なタイミングで、あるいは求職者が希望するタイミングで選考を進められます。対象は新卒に限らず、既卒者や第二新卒、留学生など多岐にわたります。
欧米などの海外企業では、欠員補充や事業拡大に合わせて採用を行うこのスタイルが一般的です。日本でも働き方の多様化やグローバル化に伴い、通年採用への注目が高まっています。
通年採用の背景と現状
日本で通年採用が注目されるようになった背景には、経団連(日本経済団体連合会)による「採用選考に関する指針」の廃止や変更があります。
かつては経団連が定めたスケジュール(3月広報解禁、6月選考解禁など)に沿って一括採用が行われていました。しかし2019年、経団連と大学側は通年採用の拡大に合意し、一律のスケジュールにとらわれない採用活動が容認されるようになりました。
また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速により、専門性の高い人材を確保する必要性が高まったことも要因の一つです。新卒という枠組みだけでなく、能力やスキルを重視した「ジョブ型雇用」の考え方が広まりつつあることも、通年採用を後押ししています。
参考:経団連:今後の採用と大学教育に関する提案 (2018-12-04)
参考:就職・採用活動に関する要請|内閣官房ホームページ
通年採用と一括採用の違いとは?
通年採用と新卒一括採用には、主にスケジュール、対象者、選考方法において大きな違いがあります。
| 項目 | 新卒一括採用 | 通年採用 |
|---|---|---|
| スケジュール | 特定の時期に一斉実施 | 年間を通じて随時実施 |
| 対象者 | 卒業予定の新卒学生が中心 | 新卒、既卒、留学生、第二新卒など |
| 入社時期 | 4月一斉入社が基本 | 柔軟に設定可能(4月、10月など) |
| 選考基準 | ポテンシャル重視 | 能力・スキル・マッチ度重視 |
一括採用は、短期間で効率的に母集団を形成し、一斉に研修を行えるため、教育コストを抑えやすいのが特徴です。一方、通年採用は個々の候補者とじっくり向き合い、相互理解を深めながら採用できる点が特徴です。
通年採用のメリット
企業が通年採用を導入することで、どのようなメリットが得られるのでしょうか。主な3つの利点を紹介します。
優秀な人材や多様な人材を獲得できる
最大のメリットは、採用の門戸を広げられることです。一括採用のスケジュールでは出会えなかった、海外留学生や公務員試験受験者、部活動で引退時期が遅い学生などにもアプローチできます。
また、既卒者や第二新卒も含めて広く募集することで、多様なバックグラウンドを持つ優秀な人材を獲得できるチャンスが広がります。
学生一人ひとりと向き合いやすい
短期間に大量の学生を選考する一括採用とは異なり、通年採用では時期を分散させて選考を行います。そのため、面接官は候補者一人ひとりに時間をかけて向き合うことができます。
じっくりと対話を重ねることで、学生のスキルや志向性を深く理解でき、自社のカルチャーにマッチするかどうかを慎重に見極められます。結果として、入社後のミスマッチ防止にもつながります。
内定辞退の補填がしやすい
一括採用の場合、内定辞退が発生すると、次の採用機会まで人員を補充するのが難しいケースがあります。しかし通年採用であれば、採用活動を継続しているため、欠員が出た際にも迅速に追加募集や選考を行うことが可能です。
通年採用のデメリット
多くのメリットがある一方で、通年採用には運用上の課題も存在します。導入前に把握しておくべきデメリットを解説します。
採用活動の長期化による工数・コスト増
通年採用は年間を通じて選考を行うため、採用担当者は常に何らかの採用業務を抱えることになります。説明会の開催や面接の調整などが断続的に続くため、担当者の負担が増加し、他の業務に手が回らなくなるリスクがあります。
また、採用期間が長引くことで、求人広告の掲載費やイベント出展費などの採用コストがかさむ可能性も考慮しなければなりません。
選考スケジュールの管理が複雑化する
候補者ごとに応募や選考のタイミングが異なるため、進捗管理が非常に複雑になります。「Aさんは一次面接、Bさんは最終面接、Cさんは内定承諾待ち」といった状況が常態化し、一括採用のような画一的な管理が通用しません。
個別のスケジュール調整や連絡漏れが発生しやすくなる点は、通年採用の大きな課題といえます。
通年採用はスケジュール管理が複雑になりがちです。採用管理システムを使えば、通年・一括の併用も自動化・効率化できます。
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通年採用を導入している企業の事例
実際に通年採用を導入し、成果を上げている企業の事例を紹介します。各社とも、自社の課題に合わせて独自の制度を設計しています。
ソフトバンク(ユニバーサル採用)
ソフトバンクでは、「ユニバーサル採用」という名称で通年採用を行っています。新卒・既卒の区別なく、ポテンシャルを持った人材であれば誰でも応募できる仕組みです。
入社時期も4月に限定せず、候補者の希望に合わせて柔軟に調整可能です。また、エンジニアや営業など職種別の採用コースを設けることで、専門性を持った人材の確保にも力を入れています。
ファーストリテイリング(ユニクロ)
ユニクロを展開するファーストリテイリングでは、学年を問わず選考に参加できる「ユニクロパスポート」というユニークな制度を導入していました(現在は通年採用として定着)。
一度選考を通過すると、そのパスポート(権利)は数年間有効となり、学生は留学や学業に専念した後、自分のタイミングで次の選考ステップに進むことができます。学生の主体性を尊重した採用スタイルといえます。
参考:通年採用・FRパスポート | ファーストリテイリング 新卒採用
通年採用の導入手順・進め方
これから通年採用を導入する場合、どのようなステップで進めればよいのでしょうか。基本的な導入の流れを解説します。
1. 採用計画とターゲットの明確化
まずは、どのような人材を、いつまでに、何人採用したいのかを明確にします。通年採用では「いつでも採れる」と考えがちですが、事業計画に基づいた目標設定が不可欠です。
ターゲットとなる人材像(ペルソナ)を定義し、その人材が動きやすい時期やアプローチ方法を検討します。
2. 選考フローと評価基準の設計
次に、選考プロセスを設計します。一括採用と同じフローを流用するのではなく、個別対応が可能なフローを構築することが重要です。
また、面接官によって評価がぶれないよう、明確な評価基準(コンピテンシーなど)を策定します。現場社員を面接官に巻き込む場合は、通年採用の目的や評価ポイントを事前に共有しておく必要があります。
3. 管理体制の構築とシステム導入
最後に、複雑なスケジュールを管理するための体制を整えます。前述の通り、通年採用では候補者ごとの進捗管理が煩雑になります。
エクセルやスプレッドシートでの手動管理には限界があるため、採用管理システム(ATS)の導入を検討するのが一般的です。システムを活用することで、応募者情報の集約や面接日程の自動調整が可能になり、担当者の負担を大幅に軽減できます。
通年採用における採用手法
通年採用を成功させるためには、待ちの姿勢ではなく、企業側から能動的にアプローチする手法が求められます。
WebやSNSの活用(ダイレクトリクルーティング)
求人サイトに掲載して応募を待つだけでなく、企業が直接候補者にスカウトを送る「ダイレクトリクルーティング」が有効です。Web上のデータベースやSNS(LinkedIn、X、Facebookなど)を活用し、自社のターゲットとなる人材に直接メッセージを送ります。
リファラル採用
社員に知人や友人を紹介してもらう「リファラル採用」も、通年採用と相性の良い手法です。採用コストを抑えられるうえ、社員を通じて自社のカルチャーを理解しているため、マッチング精度が高い傾向にあります。
採用管理システムの活用
通年採用では、複数のチャネルからバラバラのタイミングで応募が来ます。これらを一元管理するために、採用管理システム(ATS)が欠かせません。
ATSを使えば、求人媒体、SNS、リファラルなど異なる経路からの応募者を一つの画面で管理できます。また、選考ステータスの可視化やメール送信の自動化など、業務効率化に役立つ機能が豊富に搭載されています。
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まとめ
通年採用は、優秀な人材を確保し、企業の競争力を高めるための有効な手段です。一方で、スケジュール管理の複雑化や担当者の工数増加といった課題も伴います。
成功の鍵は、明確な採用計画の立案と、効率的な管理体制の構築にあります。特に、煩雑な業務を効率化する採用管理システムの活用は、通年採用をスムーズに運用するために不可欠といえるでしょう。
自社の課題に合ったツールを選定し、戦略的な通年採用を実現してください。
通年採用を成功させるには、体制づくりが不可欠です。自社に合った管理システムを探してみましょう。


